三つのたまご

ソフト鉄(乗る方)のゼネコンマンが書く社会派ブログです 。 三つのたまごは管理人の興味を表します。

スローキャリア

上昇志向が重要なのか

今回は最近読んだ本を紹介します。

『スローキャリア』高橋俊介著

www.php.co.jp

この本はこれまでの日本のサラリーマンの生き方に疑問を呈する内容です。2004年に書かれた本ですが、2017年の今でもまだまだ浸透していないと思います。

 

これまでの働き方を以下の通り表現しています。

出世した人に特別待遇を与えることで、それを見た他の社員に自分も出世してああなりたいという気持ちを抱かせ、がむしゃらに働かせることを意図していた制度となっている。

かなり痛烈な批判ですが、実際に働いてみるとまさにこの通りだと思います。「特別待遇」を得るために30年我慢するというのがこれまでの(今も続く)サラリーマンとしての生き方だったと思います。

 

しかし、この10年間で昔ながらのサラリーマン像はかなり否定されつつあります。スローキャリアを実践している人も確実に増えていし、今後もトレンドかもしれません。

 

この本のテーマは、 「上昇志向が強くない人にとってのキャリア自立」です。

 

キャリアに関する七つの誤解

キャリア形成に対し以下の7点の問題があると著者は述べています。

 ①キャリア形成には具体的かつ長期的目標が必要か
 ②夢を実現する力は重要か
 ③やりたいことは職種名で考えるべきか
 ④好きなことを仕事にするべきか*1
 ⑤やりたいことが見つからないから就職しないべきか
 ⑥やりたい仕事にまっすぐ向かうべきか
 ⑦過去の経験を活かせる職業を選ぶべきか

 これらは、就職する際に求められる問いとリンクしています。それぞれを考えた上で真面目に就職活動をすると、めでたく日本の企業に入ることができます。

 

しかし、めでたく入社して働き出したとしても、「特別待遇」を目指すことになるだけであることは言うまでもありません。途中でキャリア形成に疑問を持った瞬間に、レースから離れたくなる人が多いかもしれません。 

 

結果に結びつく4つの能力

キャリア形成には以下の4つの能力が必要です。これは、ファストキャリアもスローキャリアも関係なく求められます。ただ、本書で取り上げられるスローキャリアを実践しようとしたら、特にこの能力は必要です。 

 ①スキル

 ②頭の良さ

 ③行動特性・思考特性

 ④動機

  

スローキャリアの七つのポリシー

スローキャリアを目指すにあたり、必要な考え方があります。ことを取り上げていきます。


 ①根源的自分らしさへのこだわり
  スローキャリアを目指すなら、根源的な自分らしさへのこだわりを

  ポリシーとする。
  自分らしさは、自分の動機や価値観のことで、動機は大きく変わら

  ないが、自分自身の動機を理解するのは簡単ではなく、試行錯誤の

  プロセスから少しずつ気づいていくものだ。
 ②変化への柔軟な対応と経験からの学習
  状況の変化に柔軟に対応し、新しいことに積極的にチャレンジする。
  こだわるべきところは、あくまで自己の根源的な部分。
 ③目標ではなく個性あるキャリア
  出世や収入、企業のブランド等による外的な数字でわかるキャリア

  アップではなく、仕事の質を重視し、自分らしさや個性にこだわった

  仕事の仕方、キャリアを目指す。

 ④人生のフェーズによる使い分け
  キャリアや人生にはフェーズがあり、短期的にバランスを欠く時期が

  あっても、長期的にみて充実したキャリアや人生が送れていれば良い
 損益分岐点の低いライフスタイル
  生活インフレを起こさない。
 ⑥組織と対等で潔い関係
  貸し借りを作らない、魂を売らない、依存しない、逆に食い物にしな

  い。うまくすれば、転職後も前の会社の人脈が生きる。
 ⑦スローキャリア社会の実現
  スローキャリアという働き方を認知させる。

 

果たして自分はスローキャリアに向いているか??


 Q1.管理職から、ある日突然降格させられてという状況において

   あなたはどう考えますか?
   ⑴なにくそ、見返してやる

    →アチーバー型キャリア
   ⑵今まで会社のためにこれだけ尽くしてきたのに許せない

    →上昇志向が強くない(スローキャリア)
 Q2.仕事やキャリアで大きな困難にぶつかったときの発想はどうですか?
   ⑴自己主張:低い
    柔 軟 性:低い
    →基本的にそれを他人のせいにして、自分は犠牲者だと考える。
   ⑵自己主張:高い
    柔 軟 性:低い
    →困難を目的達成のための障害とみなし、それは努力で乗り越えられると

     考え本来の目的を変えようとはしない
   ⑶自己主張:低い
    柔 軟 性:高い
    →まあいいかとすぐに諦めてしまう
   ⑷自己主張:高い
    柔 軟 性:高い
    →困難から何かを学び、学んだことを生かして挑戦の矛先をさっと

     変えられる。

   ⑷の人がスローキャリアに向いている


幸せのキャリアを作る10の行動特性

ここまで、スローキャリアの特徴であったり、向いている人たちについて本の引用から理解を深めて来ましたが、では、実際に幸せなスローキャリアを作るにはどうすれば良いのでしょうか。10の行動特性を持ち合わせることが必要だと本書では説いています。

 

 第一因子〜主体的なジョブデザイン行動
  ①自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組んでいる。
  ②社会の変化、ビジネス動向について、自分なりの見解を持っている
  ③部署・チームを超えて、積極的に周囲の人を巻き込みながら仕事を

   している。
  ④仕事の進め方や企画を立てる際今までの延長線上にあるやり方で

   なく常に自分なりの発想で取り組んでいる。
  ⑤自分の満足度を高めるように、仕事のやり方を工夫している。
 第二因子〜ネットワーク行動
  ⑥新しいネットワークづくりに常に取り組んでいる。
  ⑦自分のネットワークを構成する個々人が、どんなニーズを持って

   いるかを把握し、それに答えようとしている
  ⑧自分の問題意識や考えを、社内外のキーパーソンに共有してもらう

   ようにしている。
 第三因子〜スキル開発行動
  ⑨今後どのようなスキルを開発していくか、具体的なアクション

   プランを持っている。
  ⑩スキル、能力開発のための自己投資をしている。

スローキャリアにおける判断の物差し

様々スローキャリアについて見て来ましたが、実際にどんなところで働けば良いのか。それについていよいよまとめていきます。

 

まずはスローキャリアで働ける会社を探します。7つの特徴がある会社で働くとスローキャリアが実現できると説きます。


スローキャリアカンパニーの特徴
  ①序列が少なく開放的で多様性がある
  ②商品やサービス、戦略などに質的こだわりがある
  ③自己裁量度が高く、成果を問われるマネジメントスタイル
  ④行動指針やコンプライアンスがはっきりしていて守られている
  ⑤キャリア自律への健全なプレッシャーがある
  ⑥採用時に、働く価値観や組織ビジョンをはっきりする
  ⑦自律的キャリア形成への具体的な取り組みがある

このような条件を揃えた会社が現在どれ程あるのでしょうか。大企業になればまずなさそうな気がします。新しい企業にはあるかもしれませんが、私の属する企業では残念ながら、昭和のにおいがするため、このような雰囲気はありません笑

 

 

スローキャリアにおける選択肢

組織に属して働くとなかなかスローキャリアを実現するのは難しそうです。では、自分の中でスローキャリアを目指すにはどうすれば良いか。以下の働き方が挙げられています。しかし、なかなかハードルが高そうです。

 

・組織内プロフェッショナル
  ※最高の職種は、弁護士やコンサルだが、

   組織内プロフェッショナルもOK!
・大組織のスペシャリスト、柔軟な職務拡大
・ 独立
・ スロー企業
  ※ポリシーや価値観を大切にする会社を作る
・キャリアチェンジ

独立・企業といった選択肢を取るには時間がかかるし、勇気がいります。達成できればその人の人生は相当豊かになるでしょう。資本主義社会でスローキャリアを実現できれば人生の勝ち組になれそうです。

 

 

今の私も働き方については様々考えることがあります。スローキャリアを実現できれば多くの悩みが解決できると思います。ただ、実現するには、独立・企業が必要であるだろうことは容易に想像がつきます。自分にはどんな興味や強い動機があるのか、じっくり考察する必要がありそうです。

*1:著者は、鉄道好きだが、5年働いて、鉄道好きと鉄道の仕事が向いているのは違うことに気づいた。